ファンマーケティング

ブランド構築の鍵は「ファンの声」にある!ファンの声の拾い方と活用方法|ウェビナーレポート

「ブランドの何に価値を感じているのか?」「何に共感しているのか?」こうしたファンの声を聞き、活用することは、顧客から愛されるブランドを構築する鍵となります。しかし、実際に「どのようにファンの声を集めればいいかわからない」という企業様も多いのではないでしょうか? 株式会社ファン・マーケティングは、共催オンラインセミナー『選ばれる理由はファンがつくる "生の声"と共鳴するブランド構築~「コミュニティ」・「リサーチ」活用~』を2025年7月19日に開催いたしました。今回は、その内容を踏まえて、ファンの声の拾い方と活用方法について詳しく解説します。

この記事に向いている人
  • Webマーケティングのご担当者様
  • ファンマーケティングに取り組みたい企業様
  • ファンの声を活かしたブランド構築に関心がある方
  • ファンの声の収集方法を知りたい方

登壇者の紹介

ブランド構築の方法はさまざまありますが、競合と差別化し、離反されないブランドを作るには、「ファンの生の声」が鍵です。そこで今回は、コミュニティ運用に強みを持つコミューン株式会社様と、リサーチに強みを持つ株式会社ネオマーケティング様をお招きし、ファンの声をいかに集め、愛されるブランドを作っていく方法について解説しました。

登壇者

プロフィール

株式会社ファン・マーケティング
マーケティング部マネジャー/コンサルタント
石田 茉莉子

慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、楽天を経てファン・マーケティングに入社。大手企業の新規事業案件に多く携わり、マーケティング戦略から具体施策の設計、実行まで一気通貫で担当。2024年からは自社マーケティング部門を立ち上げ、オウンドメディア、広告、ウェビナー施策を統括。

コミューン株式会社
エヴァンジェリスト
芳田 佳奈

2013年に新卒で楽天株式会社に入社。 そこで新規営業を経験した後、2015年にApp Annie Japanにインサイドセールスとして入社。APAC のISチームのマネージメントも担う。2019年にはカスタマーサクセス部門に異動し、日本と東南アジアの顧客担当に。その後2021年8月にインサイドセールスマネジャーとしてコミューンに入社。2022年2月よりグローバル事業のビジネス領域を担当。2023年9月よりエヴァンジェリストとして活動

株式会社ネオマーケティング
ストラテジックリサーチ部 部長
吉原 慶

マーケティング会社を経て、上場企業のマーケティングリサーチ会社に移籍。 リサーチャーのチームを立ち上げ、マネージャーとして後進の育成や社内外での勉強会やセミナーの開催、新サービスの開発を担当。 2022年ネオマーケティング(エキスパートグループ)にジョイン。その後リサーチャーのグループを立ち上げ、部を新設。現在はストラテジックリサーチ部の部長としてリサーチの価値・役割の再定義や、AIとマーケティングリサーチをテーマに、業務効率化や顧客理解への活用に挑戦している。

ファンの声の重要性

石田(株式会社ファン・マーケティング)
近年、「ファンマーケティング」という言葉はかなり広まっており、実際に取り組もうとしている企業様も増えてきています。しかし、そういった企業様のなかには、「ファンマーケ=ロイヤル顧客だけに向けた施策」であると勘違いしている企業様もいます。実際にはファンマーケティングは、ロイヤル顧客にとどまらない考え方であると考えています。

ファンマーケティングの流れは、企業によってさまざまな捉え方をされていますが、株式会社ファン・マーケティングでは以下の3ステップで捉えています。

  1. ブランドの価値を創造する
  2. 出会いを作り、感動させ、ファンになる体験を届ける
  3. ファンの熱量を高め、ファンがファンを呼び連鎖を作る

企業・ブランドの「らしさ」「存在意義」をしっかりと掘り下げ、ファンが共感したくなるような核を明確にすることが、ファンマーケティングの第一歩となります。そのうえで、ターゲットとなるユーザーに出会い、感動させ、ファンになる体験を届けることが2つ目のフェーズです。そして最後に、盛り上がった熱量をしっかりと高め、ファンがファンを呼ぶような連鎖を作るのです。

こうしたそれぞれのフェーズを考えるなかで、ファンの声というのが大きなヒントになります。

ファンマーケティングの大枠

ファンの声

ブランドの価値を創造する

・ファンは何に価値を感じている?
・どこに共感している?なぜ応援してくれる?

出会いをつくり、感動させ、ファンになる体験を届ける

・どのような体験を経てファンになった?
・最も感動したのはどの瞬間?

ファンの熱量を高め、ファンがファンを呼ぶ連鎖を作る

・どんな感情を抱いている?
・不満や要望はある?

たとえば、「ファンが価値を感じているポイント」や「共感しているポイント」といったファンの声を聞くことで、ブランドの価値をファンの声をベースに考えることができます。また、すでにコアファンがいる場合には、「どんな体験を経てファンになったのか」「最も感動した瞬間は何だったのか」といった声を聞くことで、施策に結び付けることもできるでしょう。

ファンの声の重要性

ファンとは?

石田(株式会社ファン・マーケティング)
ファンマーケティング全般におけるファンとは、企業ブランド、商品やサービスに対して愛着を持ち、継続して利用し応援してくれる存在のことを指します。

吉原様(株式会社ネオマーケティング)
リサーチにおいては、ファンとなる対象が企業ブランドやプロダクトブランドに限らず、商材のカテゴリーや行為にも該当すると考えます。たとえば、ブランドには興味はないけれど、洋服が好きな人は多く存在します。こういった人々は、アパレルやファッションの「ファン」であるといえるでしょう。また、家の中の掃除という行為にはこだわっているけれど、使う道具のブランドにはこだわりがないという方は、掃除の「ファン」といえます。こうしたブランドに限らず、強い愛着、執着、こだわりを持って利用している人をリサーチにおいては、ファンと定義しています。

芳田様(コミューン株式会社)
コミュニティにおけるファンとは、ブランド・企業のビジョンやミッションに共感している人や、ブランドと関わりたい、ブランドに協力したいと思っているユーザーのことです。そもそもコミュニティとは、共通の興味や目的を持つ人々が集まる場、または特定のブランドを愛用する顧客が集まる場のことを指します。こうした人々は、無償で協力するほど企業・ブランドに対して愛着を持っていたり、自然と商品・サービスをおすすめしてくれます。

ファンとは

ファンの声の拾い方|リサーチ(株式会社ネオマーケティング)

吉原様(株式会社ネオマーケティング)
はじめからブランドのファンを醸成するというのはハードルが高いため、商材のカテゴリーを出発点として、ブランドのファンを醸成するためのヒントを得ることが大切です。ここでは、なぜカテゴリーの理解が重要なのかと、カテゴリーを理解する具体的な手法について解説します。

カテゴリーを理解する

商品が買われるかどうかは、「何を買うか」ではなく、「何者として存在しているか」で決まるのです。人は、「商品を買っている」のではなく、「意味で選んでいる」側面が強いといわれています。つまり、スペックの違いで選んでいるのではなく、買い手の気分やその商品とのマッチ度合いが重視されているのです。そして、買い手にとっての「意味」(気分やマッチ度合い)は、商品がどのカテゴリーに属しているのかによって決まります。そのため、比較される前に選ばれるには、自らのブランドが属するカテゴリーを理解する必要があるのです。

カテゴリーを理解する

カテゴリー設計に成功した例として、「午後の紅茶 おいしい無糖」が挙げられます。「午後の紅茶 おいしい無糖」は商材のカテゴリーでいうと紅茶に属していました。しかし、紅茶は甘い飲み物で食事には合いにくいというイメージから、食事の場に出てくることはありませんでした。そこで、紅茶ではなく「無糖茶」という文脈でカテゴリーを再定義したところ、「ご飯に合う紅茶」としての役割を確立し、紅茶から「お茶(緑茶・麦茶)と同じ売り場・用途」へと生まれ変わったのです。これは、カテゴリを再設計したからこそ得られた選ばれ方であるといえるでしょう。

カテゴリーを理解する手法

カテゴリーを理解するためには、まずは自社の商品が置かれている棚の商材カテゴリーを理解しましょう。「どんな使われ方をしているのか」「どんな受け取られ方をしているのか」というように、全体を俯瞰して理解していく中で、自分たちのブランドならではの勝ち筋を見つけていくことが重要です。

カテゴリーを理解する1つの手法として、株式会社ネオマーケティングでは定性的定量調査を推奨しています。

定性的定量調査

定性的定量調査とは、AIによるチャットを活用したアンケート調査です。アンケート内の自由回答の部分をチャット形式で解答してもらう形で、裏にAIが内蔵されており、ユーザーの回答に沿って次の設問を考えてくれます。そのため、一問一答形式のアンケートよりも多くの情報を得られるという特徴があります。

チャットアンケート

急速に変化する市場で、最新の顧客ニーズをとらえ続けるにはAIとの共生、共創、分業が必要不可欠です。

ファンの声の拾い方|コミュニティ(コミューン株式会社)

芳田様(コミューン株式会社)
コミュニティを活用し、ファンとつながり続けることで、ファンの生の声を引き出すことができるのです。コミュニティがあることによって、ユーザーと企業がつながり、信頼が生まれ、企業・ブランドを好きになり、LTVの向上につながるといったサイクルが生まれます。今回は、そのなかでも企業がユーザーとつながり、信頼が生まれるまでの過程に注目して解説します。

コミュニティでできること

コミュニティの重要性

コミュニティはユーザーと企業の自然な接点の構築につながるため、ファンマーケティングにおいて重視されています。顧客との接点を構築するにあたって、アプリや、メールマガジンを活用している企業様も多く存在します。しかし、自然に接点を作るとなると、難しいケースも多いため、コミュニティをうまく活用して顧客に対して自然にアプローチすることが大切です。

さらに、コミュニティによって顧客との接点が生まれることで、企業は今までより深く顧客を理解することができます。企業様のなかには、顧客がなぜこのブランドを好きなのか分かっていないケースも多くあります。コミュニティを通して、実際に顧客と交流したり、ミーティングで直接話したりすることで、自然と顧客に刺さっているポイントを知ることができるでしょう。

また、コミュニティはブランドを好きになるきっかけを創出できるというメリットもあります。ブランドを好きになるきっかけは、作ろうと思って簡単に作り出せるものではありません。しかし、コミュニティがあることで、自然なきっかけ作りにつながり、さらには好きになったタイミングをデータとして取得できます。得たデータを分析することで、さらなる機会の創出につながるでしょう。

コミュニティでできること

コミュニティを活用することで、他の媒体と比較して、より質の高いUGCを多く収集できます。実際に、Xとコミュニティの毎月のUGC数を比較すると、毎月3-5倍のUGCが生まれています。

コミュニティによりUGCが獲得できる

さらに、コミュニティの投稿には文字数や写真の枚数に制限がないことに加え、同じブランドを好きな人たちが集まっているからこそ、投稿のハードルが下がり、より質の高い投稿が生まれるのです。実際、コミュニティのUGCはSNSと比較して1投稿あたり約10倍の情報量を獲得できるといわれています。

コミュニティのUGCの特徴

また、投稿やコメントからユーザーの隠れた欲望を抽出できるというのも、コミュニティでできることの1つです。商品の感想や消費者の好みなど、コミュニティは思ったことを自由に発信できる場であるため、自然な声が集まりやすくなっています。

コミュニティを導入するチェックリスト

「自分の会社は本当にコミュニティをやるべきなのか」と悩まれている企業様も多いのではないでしょうか?そこで、コミュニティを導入する際のチェックリストを作成いたしました。チェック数が多ければ多いほど、コミュニティ施策が向いているといえるため、導入を検討している企業様はぜひ参考にしてみてください。

コミュニティを展開するチェックポイント

ファンの声をどう活かすか|リサーチ(株式会社ネオマーケティング)

吉原様(株式会社ネオマーケティング)
ファンの声を活かすことで、ブランドとしての価値を定義、再定義することができます。定性的定量調査を活用してファンの声を収集し、そのなかから顧客の「潜在的な諦め」を探していきます。たとえば、「午後の紅茶 おいしい無糖」の例でいうと、「紅茶は食事には合わないけれど、甘いから仕方ない」という消費者の潜在的に諦めている部分を探すことが大切です。こうした、諦めの部分を解決することができれば、他のブランドにはない独自の価値を創出することができます。カテゴリーのユーザーの声を活かしていくことで、ブランドの価値を再定義するだけでなく、全体的な戦略設計にもつながっていくのです。

リサーチでファンの声を活かす

ファンの声をどう活かすか|コミュニティ(コミューン株式会社)

芳田様(コミューン株式会社)
ファンの声を集められるコミュニティは、企業成長の源泉となります。基本的にコミュニティには購入した後の人々が所属しているため、既存顧客のファン化を実現することができます。さらに、既存顧客育成の過程で得られたインサイトは、マーケティング活動を中心に企業活動全体の基盤となるでしょう。

コミュニティの影響範囲

また、ファンコミュニティでは、限定イベントや、ファン同士のつながりが多く行われているため、さまざまなコミュニティログが集まっていきます。集まってきたデータは、既存顧客のLTV向上や、ファンのインサイト収集、新規顧客の獲得のためのマーケティング施策といったさまざまな事業に活用できます。つまり、コミュニティは顧客のファン化を通じてさまざまな事業貢献を実現できるのです。

コミュニティの幅広い影響範囲

BASE FOOD Labo

BASE FOODという完全栄養食のパンやパスタ、クッキーなどを展開しているベースフード株式会社では「BASE FOOD Labo」というコミュニティを展開しています。LTVの向上や新規顧客の獲得を目的としてコミュニティの運用をスタートし、結果的に解約率の低下や、月800件以上、コミュニティユーザーのリファラル起点で定期購入の成約を実現しました。

BASE FOOD Laboの事例

顧客と企業をつなげるコミュニティに加えて、スピーディーな商品開発サイクルをもち、高頻度の新商品ローンチ及び既存商品のアップデートを実現しています。

BASEFOODのコミュニティの仕組み

猫壁ひろば

株式会社LIXILでは、「猫壁ひろば」というキャットウォークを利用しているユーザー向けのコミュニティを運用しています。事業構造上、エンドユーザーとつながりづらく、SNSを運用してもなかなか深い接点が作れないという課題から、コミュニティ運用を開始しました。

LIXILのコミュニティ成功事例

新商品の使用感や、実際に使用した画像など、ユーザーが積極的に投稿してくれるため、消費者にとって情報共有の場となっています。また、購入検討者の質問に対して、運営があえて介さずに実際に使っているユーザーが回答することで、ユーザーがより有益な情報を得ることが可能です。さらに、製品サイトとコミュニティを繋いで、商品ページから商品の口コミを確認し、口コミを書いた人に直接相談できるように設計しました。そうすることで、検討者と購入者の交流促進を図り、ユーザーの購買意欲を刺激する流れをつくっています。

ファンの声をどう活かすか(株式会社ファン・マーケティング)

石田(株式会社ファン・マーケティング)
ファンの声の活かし方は主に「カスタマージャーニーを整理して施策を検討する」「クリエイティブに活かす」「サービス開発に活かす」の3つだと考えています。

ファンの声の活用例

【クックパッド株式会社】クリエイティブに活かす

クックパッド株式会社様は、新規事業を展開しようとしたところ、想定したターゲットに対して新規事業のサービス内容が適切に訴求できず、なかなか契約につながらないという課題を抱えていました。そこで、初期からずっと利用し続けてくれているユーザーに対して、デプスインタビューを実施しました。そこから深ぼっていった結果、自分たちが想定していたものとは異なる訴求ポイントや利用シーンが見えてきたのです。その結果をもとに、広告やLPを変えていったところ、利用希望者が当初の8倍にまで増加しました。

クックパッド株式会社の成功事例

クックパッド株式会社様とともに新規事業の利用者数増加に取り組んだのは、ファン育成のプロである株式会社ファン・マーケティングです。企業様の課題に合わせて、最適な解決方法をご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

クックパッド株式会社様の事例詳細はこちら

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【株式会社ベネッセコーポレーション】サービス開発に活かす

株式会社ベネッセコーポレーション様は、共創イベント「未来会議」で集めた声を新規サービスの開発に活かしました。既存事業にとらわれず、これから変化していく未来に向けて必要な学びを考えて、新規事業を作るという、「未来の学びプロジェクト」を実施していました。この取り組みの一環として、教育に関心の高い保護者や教育関係者、各分野の専門家を巻き込んだ「未来会議」を開催したのです。サービス開発途中の段階から、ファン見込み層(教育に関心が高い方)とつながり、そこでの声を新規サービス「みらいキャンパス」の理念や講座開発に反映させています。

ベネッセコーポレーションの成功事例

株式会社ベネッセコーポレーション様とともに、「みらいキャンパス」の開発に取り組んだのは、株式会社ファン・マーケティングです。株式会社ファン・マーケティングでは、コンサルティングからクリエイティブ制作・運用まで、総合的なファンマーケティング支援を提供しています。「ファンの声をどう活かしたらいいかわからない」という企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

株式会社ベネッセコーポレーション様の事例詳細はこちら

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ファンマーケティングのことなら株式会社ファン・マーケティングへ

ファンマーケティングは既存顧客への施策だけではなく、新規顧客の獲得にもつながるため、企業の成長には欠かせない施策です。「ファンマーケティングを行いたい」と考えている企業様は、まずはファンの声からブランドの価値を再定義したり、各種マーケティング施策に活かすようにしましょう。

株式会社ファン・マーケティングでは、コンサルティングからクリエイティブ制作・運用まで、総合的なファンマーケティング支援を提供しています。「何から始めたらいいかわからない」という企業様は、まずはお気軽にご相談ください。ファン育成のプロである株式会社ファン・マーケティングが企業様に最適な施策をご提案いたします。

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執筆者のプロフィール​

犬飼友菜 (いぬかい ゆな) ライター

株式会社ファン・マーケティングにて、SEOコンテンツの執筆を担当。検索意図を深く分析し、読者が求める情報を的確に届けることを重視。専門性と分かりやすさを両立した記事を制作している。

https://f-marketing.jp/

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